井上尚弥VSスティーブン・フルトン(2023/07/25)
概要
開催日時
2023/07/25
タイトル
選手
スティーブン・フルトン(米国)/Stephen Fulton (U.S.A.)
井上尚弥(大橋)
結果
井上尚弥のTKO(8R)勝利
スコア
フルトン-井上
A:64-69
B:65-68
C:64-69
※7Rまで
感想
バンタム級で4団体統一を果たした井上尚弥のスーパーバンタム級デビュー戦は、いきなり階級最強と呼ばれるフルトンとの2団体とういつせんとなった。国内での前評判ではほぼ井上優勢、海外でも一部がフルトン優勢を唱える程度であったが、結果はおそらく多くの予想を超えて井上の圧倒的勝利となった。
序盤(1-3R)
フルトン陣営からのバンテージへのクレームなどのせいか、試合前の井上の表情は普段より固かったように見えた。緊張なのか闘争本能なのか、いつも以上に顔つきが鋭い。対するフルトンは表情が読みにくいものの緊張しているようにも見える。
試合開始と同時に驚きの展開。井上が前に出たと思うとフルトンが距離をとる、というより腰が引けて逃げているような体制になった。これには驚いた。1R目で早くも井上が試合の主導権を持っていってしまった。流石のフルトンもクリーンヒットはないが余裕を持ったアウトボクシングというより、弱腰と見えてもやむなしというほど逃げ回る。驚くべきことにリーチに劣る井上のジャブがフルトンの顔に軽く届くのに対して、フルトンのジャブは拳一つ分届かない。ステップインの鋭さにかなりの差があるのだ。
中盤(4-7R)
4Rごろからフルトンが井上のタイミングに慣れてきたのかある程度前に出て、ジャブ、ストレートを狙う。井上もパンチが届く距離になり手数を出すが、さすがフルトンのディフェンス能力は高く致命傷はもらわない。普段はフック系のボディを狙う井上がこの試合ではボディジャブを多用。この辺りは両者パンチを交錯させるスリリングな展開となった。井上が有利すぎるので多少フルトンびいきにポイントをつけると、4Rと7Rはフルトンがとってもおかしくないラウンドだった。
決着(8R)
ポイント的には井上有利とはいえ、強打をうまく避けながらパンチを返すフルトン。このまま、ある程度ポイントが行き来しながら12Rまで行くか、と思った瞬間。井上の左ボディジャブからの、右ストレートがクリーンヒット。完全にバランスを崩したフルトンに追撃の左が当たりダウン。完全に大の字になったフルトンを見てこれは終わりか、と思ったものの、なんとふらつきながらも立ち上がり再開。しかし、流石にここまで来た以上は勝負ありか。コーナーに追い詰められた後に追撃を受けたところでレフェリーが試合を止めた。
井上尚弥の8R TKO勝利。
試合後
試合後フルトンは「井上の方がタイミングがよかった」「左ボディジャブからの右ストレートが見えなかった」と
※通訳では「井上の方が、過ごしてきた時間(Time)がよかった」とされていたが、明らかに試合中のことを言っているのでパンチのタイミング(Timing)と言っていると思われる。
※同じく通訳ではボディへのジャブが見えなかったと訳されていたが、ボディへのジャブが見えないはずがなく(むしろボディに気を取られていたから右をもらった)、明らかに右手(Right hand)と言っているので、ダウンの瞬間の右ストレートのことを言っている。
今後
試合後は残り2団体の王者タパレスがリングインして対戦をアピール。年末に早くも4団体統一戦となりそうだ。できればタパレスでなく無敗だったアフマダリエフと統一戦をして欲しかったというところだが、この内容ではどちらでも井上相手にどうかできるとも思えず、スーパーバンタム1戦目にしてクライマックスが終了してしまった気分だ。